友人から聞いた話なのですが、とあるシナリオ教室で心中サイトで知り合った男女をネタにお話を書きなさいという課題がでたという。OLさんの多いシナリオ教室では、うら若い男女がネットを通じて美しい死を遂げるような内容の物が多いらしいが先生が言うには、そんなお話はダメらしい。
例えば主人公はまあ若い女性として、ネットで知り合った男性は若くて一緒に死ぬには完璧なパートナーだったはずが、実際会ってみると冴えないじじいで、つまり正直にじじいですなんて書き込みしても一緒に死んでくれる女性なんてみつかるはずもないのでプロフィールは完全に偽って書いていたわけ。それでもって”こんな若いかわいい娘が一緒に死んでくれるなんてなんてわしはラッキーなんじゃ!どうせ死ぬんだから死ぬ前に一発やらせてくれんかのう?” というわけで、こんなじじいと死ねるか!となるような意外性のある展開でないとだめという訳である。
さてこの時点で意外性のある設定というのがすでに話に出てしまったので意外なカップルの出会いを設定するのはもはや意外ではない。それならその逆で心中する若い男女が出会った上で意外性のある展開がないものか?しかもゲイとか変態とか若人あきらとか色物に走らない形で。
心中という約束で出会うということは、要は一緒に死ねばいい訳である。
取りあえず心中の構図までは、いかにも心中する的な展開で持っておいて行って。なんとなく異空間、異次元的な構図にトランジットさせて、結婚式とか出産、うぶ声、亭主の浮気が原因による夫婦喧嘩など人生の節目節目の典型的なSEをコラージュさせて。
最後はお葬式の片付けのシーンで、中年夫婦の会話の後ろで、子供2人くらい絵のなかにすべりこませておく感じ。
”おじいちゃんとおばあちゃん、縁側で昼寝しながら一緒に死んじゃうなんてねぇ、笑。葬式の手間は1度でいいけど寂しくなるわねえ。”
なんて。